『あれよあれよの大騒動』②
竹井がため息をつくと、その後わたしもため息をつく。
職場に入ると、既に竹井がいた。
「元気ー? 昨日いろいろあったみたいだけど…」
「わたしもうだめです」と笑いながら言う。
「お互い今日はぽんこつだね」
バレンタインから1週間が経ったある日のこと
小林から「泉と竹井との4人でご飯食べたい!」と連絡がきた。
その日の夜は大森と会う予定だった。
しかし急遽大森に仕事が入ったため、小林の誘いに乗ることにした。
わたしは竹井の隣に座り、竹井の前には小林、小林の隣には泉が座った。
わたしには、小林と泉が竹井の隣を避けているように映った。
今思えば、みんなに対する配慮だったのかもしれない。
「小林もまた、竹井のことが好き」
そんな事実を知っていたから。
結局その日は、朝まで小林の家で過ごした。
その日を境に、竹井とはお互い下の名前で呼ぶことになった。
彼氏以外に下の名前で呼ばれたことなんてないのに。
3人がいれば、どんなに仕事が辛くても
恋が辛くても
怖いものはないと思ってた…けど
「いつから分かってたの?」
「先月から分かってた。2人とも隠すの下手だよ。」
「別に隠すつもりはなかった。」
小林が包み隠さず「竹井が好き」と言うから
知ってたよ。
「間をとって、わたしと付き合いません?」
友人の助言をもとに、竹井にこう投げかけた。
みんながため息をついているものだから
わたしがみんなを元気にしないといけない。
でも、元気になれない。